Sun Microsystems, Inc.
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第 45 章

ファイルシステムのバックアップと復元 (概要)

この章では、ufsdump コマンドと ufsrestore コマンドを使用して、ファイルシステムのバックアップおよび復元を実行する際のガイドラインと計画の作成について説明します。

この章の内容は以下のとおりです。

ファイルシステムのバックアップと復元の新機能

この節では、Solaris 9 リリースで提供されるバックアップと復元の新機能について説明します。

UFS スナップショット

Solaris 9 リリースには、ファイルシステムのマウント中にファイルシステムのバックアップを作成する新規コマンド fssnap が追加されました。

fssnap コマンドを使用して、ファイルシステムの読み取り専用のスナップショットを作成することができます。スナップショットは、バックアップ操作のためのファイルシステムの一時的イメージです。

詳細は、第 47 章「UFS スナップショットの使用 (手順)」を参照してください。

バックアップと復元についての参照先

バックアップまたは復元処理

参照先

ufsdump コマンドを使用したファイルシステムのバックアップ

第 46 章「ファイルとファイルシステムのバックアップ (手順)」

fssnap コマンドを使用した UFS スナップショットの作成

第 47 章「UFS スナップショットの使用 (手順)」

ufsrestore コマンドを使用したファイルシステムの復元

第 48 章「ファイルとファイルシステムの復元 (手順)」

cpio ddpax、および cpio コマンドを使用したファイルおよびディレクトリのコピー

第 50 章「UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)」

ファイルシステムのバックアップと復元とは

ファイルシステムのバックアップとは、消失、損傷、または破損に備えて、ファイルシステムをテープなどのリムーバブルメディアにコピーすることを意味します。ファイルシステムの復元とは、最新のバックアップファイルをリムーバブルメディアから作業ディレクトリにコピーすることを意味します。

この章では、UFS ファイルシステムのバックアップおよび復元に使用する ufsdump および ufsrestore コマンドについて説明します。他のコマンドを使用してファイルやファイルシステムをコピーし、ファイルの共有や移動を行うこともできます。次の表に、個々のファイルやファイルシステムをメディアにコピーする全コマンドを示します。

表 45-1 ファイルとファイルシステムのバックアップおよび復元用コマンド

作業

コマンド名

参照先

1 つまたは複数のファイルシステムをローカルまたはリモートのテープデバイスにバックアップする

ufsdump コマンド

第 46 章「ファイルとファイルシステムのバックアップ (手順)」または第 49 章「UFS バックアップおよび復元コマンド (参照情報)」

ファイルシステムの読み取り専用コピーを作成する

fssnap

第 47 章「UFS スナップショットの使用 (手順)」

ネットワーク上のシステムのファイルシステム全体をバックアップサーバーからバックアップする

Solstice Backuptrade ソフトウェア

Solstice Backup 5.1 管理者ガイド

NIS+ マスターサーバーをバックアップ、復元する

nisbackup および nisrestore コマンド

Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)

テープまたはフロッピーディスク上でファイルをコピー、表示、検索する

tarcpio、または pax コマンド

第 50 章「UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)」

マスターディスクをクローンディスクにコピーする

dd コマンド

第 50 章「UFS ファイルとファイルシステムのコピー (手順)」

ファイルシステム全体または個々のファイルを、リムーバブルメディアから作業ディレクトリに復元する

ufsrestore コマンド

第 48 章「ファイルとファイルシステムの復元 (手順)」

ファイルシステムをバックアップする理由

ファイルのバックアップは、最も重要なシステム管理作業の 1 つです。次のような原因によるデータの消失に備えて、定期的にバックアップを実行する必要があります。

  • システムのクラッシュ

  • 不注意によるファイルの削除

  • ハードウェア障害

  • 天災 (火災、台風、地震など)

  • システムの再インストールやアップグレード時に発生する問題

バックアップを作成するファイルシステムの計画

頻繁に更新されるファイルシステムなど、ユーザーにとって重要なファイルシステムはバックアップしておく必要があります。次の表に、スタンドアロンシステムとサーバー用にバックアップを作成するファイルシステムの一般的なガイドラインを示します。

表 45-2 ファイルシステムをスタンドアロン用にバックアップする

バックアップするファイルシステム

説明

バックアップ間隔

ルート (/) - スライス 0

このファイルシステムにはカーネルが格納されているが、/var ディレクトリが格納されていることもある。/var ディレクトリには、メールやアカウンティングファイルなど、頻繁に変更されるファイルが保管される。

定期的 (毎週、毎日など)

/usr - スライス 6、/opt

一般に、新しいソフトウェアをインストールして新しいコマンドを追加すると、/usr/opt ファイルシステムが影響を受ける。/opt ディレクトリは、ルート (/) の一部であるか、独自のファイルシステムである。

随時

/export/home - スライス 7

このファイルシステムには、スタンドアロンシステム上のユーザー全員のディレクトリおよびサブディレクトリが含まれる。

ルート (/) や /usr よりも頻繁に、サイトのニーズによっては毎日

/export /var、または他のファイルシステム

Solaris ソフトウェアのインストール中に、これらのファイルシステムを作成した可能性がある。

サイトの必要に応じて

表 45-3 ファイルシステムをサーバー用にバックアップする

バックアップするファイルシステム

説明

バックアップ間隔

ルート (/) - スライス 0

このファイルシステムには、カーネルおよび実行可能プログラムが含まれる。

サイトの必要に応じて毎日 1 度ないし月に 1 度。

ネットワーク上でユーザーとシステムの追加および削除を頻繁に実行する場合、このファイルシステム内の構成ファイルを変更する必要がある。この場合、週に 1 度から月に 1 度の間隔で、ルート (/) ファイルシステムの完全バックアップを実行する必要がある。サイトでユーザーのメールをメールサーバー上の /var/mail ディレクトリに保管しておき、後でクライアントシステムがマウントする場合は、ルート (/) ディレクトリを毎日バックアップした方がよい。別のファイルシステムの場合は、/var を毎日バックアップした方がよい。

/export - スライス 3

このファイルシステムには、ディスクレスクライアント用のカーネルおよび実行可能プログラムが含まれる。

サイトの必要に応じて毎日 1 度ないし月に 1 度。

このファイルシステム内の情報はスライス 0 にあるサーバーのルートディレクトリと同様なので、ファイルシステムは頻繁に変化することはない。サイトからメールをクライアントシステムに送信していない場合、このファイルシステムのバックアップは随時実行すればよい。送信している場合は、/export のバックアップをさらに頻繁に実行する必要がある。

/usr - スライス 6、/opt

 

サイトのニーズに応じて毎日 1 度ないし月に 1 度。

通常、これらのファイルシステムは静的であるため、週または月に 1 度バックアップするだけでかまわない。

/export/home - スライス 7

このファイルシステムには、システムの全ユーザーのディレクトリが含まれる。このファイルシステム内のファイルは、変更が多い。

毎日または毎週。

バックアップタイプの選択

ufsdump コマンドを使用すると、フルバックアップまたは増分バックアップを実行できます。fssnap コマンドを使用すると、ファイルシステムの一時イメージを作成できます。次の表に、各バックアップタイプの手順の違いを示します。

表 45-4 バックアップタイプの相違点

バックアップのタイプ

結果

長所

短所

完全 (フル)

ファイルシステムやディレクトリ全体をコピーする。

すべてのデータが 1 カ所に格納される。

大量のバックアップテープが必要であり、書き込みに時間がかかる。ドライブはテープ上でファイルが入っている位置に順番に移動しなければならないので、個々のファイルの検索時間が長くなる。複数のテープを検索しなければならない場合もある。

スナップショット

ファイルシステムの一時イメージを作成する。

システムはマルチユーザモードで動作可能。

スナップショットの作成中は、システムのパフォーマンスが低下する可能性がある。

増分

指定されたファイルシステム内で、前回のバックアップ以降に変更されたファイルのみをコピーする。

ファイルシステム内の小さな変化を簡単に検索できる。

どの増分テープにファイルが入っているかを探すのに時間がかかることがある。最後の完全ダンプに戻らなければならない場合もある。

 
 
 
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