ブートプロセス (参照情報)
この章では、SPARC システム と IA システムをブートするためのファームウェアについて説明します。また、各プラットホームのブートプロセスの概要も説明します。
この章の内容は次のとおりです。
システムのブート手順については、第 13 章「SPARC: システムのブート (手順)」または第 14 章「IA: システムのブート (手順)」を参照してください。
SPARC: ブート PROM
SPARC システムごとに、「モニター」と呼ばれるプログラムを格納している PROM (プログラム可能な読み取り専用メモリー) チップがあります。モニターは、Solaris のカーネルが使用される前に、システムの動作を制御します。システムをオンにすると、モニターはシステムのハードウェアやメモリーを検査するセルフテスト手順を実行します。エラーが検出されなければ、システムは、自動ブートプロセスを開始します。
注 - Solaris システムが動作する前に、以前のシステムの一部には PROM アップグレードが必要なものもあります。詳細は、ご購入先にお問い合わせください。
SPARC: ブートプロセス
次の表に、SPARC システムのブートプロセスの説明を示します。
表 15-1 SPARC: ブートプロセスの説明
ブート段階 | 説明 |
---|---|
ブート PROM | 1. PROM は、システム識別情報を表示し、セルフテスト診断を実行してシステムのハードウェアとメモリーを検査する。 |
| 2. PROM は一次ブートプログラム bootblk を読み込む。このプログラムの目的は、デフォルトのブートデバイスから二次ブートプログラム (ufs ファイルシステムにある) を読み込むことにある。 |
ブートプログラム | 3. bootblk プログラムは二次ブートプログラム ufsboot を検索して実行し、それをメモリーに読み込む。 |
| 4. ufsboot プログラムが読み込まれた後、ufsboot プログラムはカーネルを読み込む。 |
カーネル初期設定 | 5. カーネルが自身を初期設定し、ファイルの読み込みに ufsboot を使ってモジュールのロードを開始する。カーネルはルート (/) ファイルシステムをマウントするのに十分なモジュールをロードすると、 ufsboot プログラムの対応づけを解除し、それ自身のリソースを使って動作を続ける。 |
6. カーネルがユーザープロセスを作成し、/etc/inittab ファイルを読んで他のプロセスを起動する /sbin/init プロセスを起動する。 | |
init | 7. /sbin/init プロセスが実行制御 (rc) スクリプトを起動し、このスクリプトは一連の他のスクリプトを実行する。それらのスクリプト (/sbin/rc*) はファイルシステムを検査、マウントし、さまざまなプロセスを実行して、システム保守作業を実行する。 |
IA: PC BIOS
カーネルが起動される前は、システムは、PC 上のファームウェアインタフェースである、読み取り専用メモリー (ROM) の Basic Input/Output System (BIOS) によって制御されます。
ハードウェアアダプタにオンボード BIOS を搭載することができ、それによってデバイスの物理的特性を表示したり、デバイスにアクセスしたりすることができます。
起動シーケンスの間、PC の BIOS はアダプタの BIOS があるかどうか調べ、あれば、それぞれのアダプタ BIOS をロードして、実行します。アダプタの BIOS はそれぞれセルフテスト診断を実行して、デバイス情報を表示します。
IA: ブートサブシステム
Solaris のブート時に、ブートシステムについて次の選択を行うことができます。
一次ブートサブシステム (「Partition Boot」メニュー) -- この最初のメニューは、複数のオペレーティング環境がディスク上にある場合に表示されます。このメニューで、インストールされたどのオペレーティング環境からブートするかを指定できます。デフォルトでは、アクティブなオペレーティング環境からブートします。
Solaris オペレーティング環境以外のオペレーティング環境からブートするように指定すると、次の 2 つのメニューは表示されません。
自動ブートプロセスへの割り込み -- 自動ブートプロセスに割り込むと、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) にアクセスできます。
Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を使用すると、異なるブートデバイスから Solaris システムをブートする、新しいハードウェアを構成する、間違って構成したハードウェアを構成し直すなど、デバイス関連やブート関連の作業を実行できます。
「Current Boot Parameters」メニュー -- このメニューには 2 つの形式があります。1 つは、通常の Solaris ブート用で、もう 1 つは Solaris インストールブート用です。
通常の「Current Boot Parameters」メニューでは、オプションを付けて Solaris システムをブートしたり、ブートインタプリタを実行したりできます。
インストール用の「Current Boot Parameters」メニューでは、インストールの種類を選択したり、ブートをカスタマイズしたりできます。
表 15-2 に、主な IA ブートインタフェースの目的を示します。以降の節では、各ブートインタフェースを詳細に説明し、例を示します。
表 15-2 IA: ブートサブシステム
ブートサブシステム | 種類 |
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一次ブートサブシステム | このメニューは、現在ブート中のディスクに複数のオペレーティング環境 (Solaris オペレーティング環境も含む) が含まれている場合に表示される。 |
二次ブートサブシステム | Solaris リリースをブートするたびに表示される。自動ブートプロセスに割り込んで、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) を実行することを選択していない限り、Solaris リリースが自動的にブートされる。 |
Solaris Device Configuration Assistant ブートフロッピーディスク | 「Solaris Device Configuration Assistant」メニューを表示するには次の 2 つの方法がある。
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「Current Boot Parameters」メニュー | このメニューは、Solaris をディスク、CD-ROM、またはネットワークからブートするときに使用。このメニューにはブートオプションが表示される。 |
注 - Solaris Device Configuration Assistant ブートフロッピーディスクを作成する必要がある場合は、http://soldc.sun.com/support/drivers/dca_diskettes を参照してください。
ブートプロセス中は、ブートサブシステムメニューは異なるデバイスとブートオプションを表示します。システムは何回かのタイムアウトの後で応答を受け付けなくなった場合、デフォルトの設定値を使って自動的にブートを継続します。ブートサブシステムメニューが表示されるたびに、ブートプロセスを停止することができます。また、自動的に継続させることもできます。
次の節では、各ブートサブシステムの画面の例を示します。
IA: Solaris リリースのブート
デバイスを識別する段階では、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) は次の処理を実行します。
システムにインストールされているデバイスを走査する。
識別されたデバイスを表示する。
キーボードの選択やデバイスとそのリソースの編集などのオプションの作業を可能にする。
ブートの段階では、Solaris Device Configuration Assistant (デバイス構成用補助) は次の処理を実行します。
ブートするデバイスのリストを表示する。アスタリスク (*) が付いたデバイスがデフォルトのブートデバイスです。
自動ブート設定やプロパティ設定の編集、ネットワーク構成方針の選択などのオプションの作業を可能にする。
次の節では、デバイスを識別する段階で表示されるメニューの例を示します。デバイス出力は、各システム構成によって異なります。