RAID1 ボリュームには、他のボリューム (d0、d1 など) と同じような名前があります。ボリュームの名前については、「 ボリュームの規則」を参照してください。それぞれのサブミラーには一意のデバイス名があります。サブミラーもボリュームです。
RAID1 ボリュームは 1 つまたは複数のストライプや連結で構成されています。RAID1 ボリューム内のストライプや連結はサブミラーと呼ばれます。(RAID1 ボリュームは RAID5 ボリュームで構成することができません。)
RAID1 ボリュームは最大 3 つのサブミラーで構成できます。(通常は二面ミラーを作成すれば十分に実用的です。3 番目のサブミラーを使用すると、1 つのサブミラーがオフラインでバックアップ中に、データの冗長性を失わずにオンラインバックアップを行うことができます。
サブミラーは、通常は RAID1 ボリュームだけがアクセスできる点で他のボリュームと区別されます。サブミラーは、RAID1 ボリュームに追加した場合に RAID1 ボリュームからだけアクセスできます。
サブミラーを「オフライン」にすると、RAID1 ボリュームはサブミラーへの読み取りと書き込みを停止します。このとき、サブミラーにアクセスしてバックアップなどを行うことができます。ただし、サブミラーは読み取り専用の状態です。サブミラーがオフラインの場合、拡張ストレージは RAID1 ボリュームへの書き込みをすべて追跡します。サブミラーがオンラインに戻ると、書き込まれた部分の RAID1 ボリューム (再同期領域) だけが再同期されます。サブミラーは、エラーが発生した物理デバイスをトラブルシューティングしたり修復する場合にもオフラインにすることができます。
サブミラーには他のボリューム (d0、d1 など) と同じような名前があります。ボリュームの名前については、「 ボリュームの規則」を参照してください。
サブミラーは、いつでも RAID1 ボリュームに割り当てたり、RAID1 ボリュームから割り当てを解除したりすることができます。そのためには、少なくとも 1 つのサブミラーが常に割り当てられたままの状態になっている必要があります。metadetach(1M) コマンドに -f オプションを使用してサブミラーの割り当てを解除することができます。拡張ストレージは必ず強制的に RAID1 ボリュームの割り当てを解除するので、他のオプションはありません。通常は、1 つのサブミラーだけで RAID1 ボリュームを作成します。RAID1 ボリュームを作成したあと、2 番目のサブミラーを追加します。
RAID1 ボリュームのパフォーマンスを最適にするために、次のオプションが利用できます。
RAID1 (ミラー) の読み取り方式
RAID1 (ミラー) の書き込み方式
RAID1 (ミラー) ボリュームが再同期される順序 (パス番号)
最初に RAID1 ボリュームを作成したときや RAID1 (ミラー) ボリュームを設定したあとで、RAID1 (ミラー) ボリュームのオプションを定義できます。これらのオプション変更に関するタスクについては、『Solaris Volume Manager Administration Guide』を参照してください。
拡張ストレージを使用して、異なる読み取り方式と書き込み方式を RAID1 (ミラー) に構成できます。読み取り方式と書き込み方式を正しく設定すると、該当する構成のパフォーマンスを向上できます。
表 2-1 RAID1 (ミラー) の読み取り方式
読み取り方式 |
説明 |
---|---|
ラウンドロビン (デフォルト) |
サブミラーの読み取りの分散を試みる。読み取りはすべて、RAID1 ボリュームの全サブミラーからラウンドロビンの順序で一つずつ行われる |
ジオメトリ |
論理ディスクブロックのアドレスに基づいて、読み取りをサブミラーに分割する。たとえば、二面サブミラーでは RAID1 ボリュームのディスクスペースは同じサイズの論理アドレス範囲に 2 分割される。一方のサブミラーの読み取りは論理範囲の半分に制限され、他方のサブミラーの読み取りは残り半分に制限される。ジオメトリックな読み取り方式により、読み取りに必要なシークタイムが短縮され、効果的。このモードで得られるパフォーマンスはシステム I/O 読み込みとアプリケーションのアクセスパターンよって異なる |
ファースト |
すべて最初のサブミラーから読み取るようにする。最初のサブミラーを含むデバイスが次のサブミラーよりも実質的に速い場合にだけ使用する |
表 2-2 RAID1 (ミラー) の書き込み方式
書き込み方式 |
説明 |
---|---|
並列 (デフォルト) |
RAID1 ボリューム (ミラー) への書き込みが複製され、すべてのサブミラーに同時に振り分けられる |
直列 |
サブミラーへの書き込みを直列に行う (つまり、最初のサブミラーへの書き込みが終了したあとに次の書き込みを開始)。直列オプションで、1 つのサブミラーへの書き込みが終了してから次のサブミラーへの書き込みを開始するように指定する。直列オプションは、停電などでサブミラーが読み取れなくなった場合に提供される |
拡張ストレージで、RAID1 ボリュームが複数のスライス障害に対応して動作を続行できるよう保証することはできません。しかし、RAID1 ボリュームの構成によっては拡張ストレージで複数のスライス障害に対処することもできます。RAID1 ボリュームの複数スライス障害に同じ論理ブロックが含まれていなければ、RAID1 ボリュームは動作を続けます。(サブミラーも別々に構築されている必要があります。
RAID1 ボリューム d1 は 2 つのストライプ (サブミラー) で構成されており、それぞれが 3 つの物理ディスクと同じインタレース値で構成されています。3 つのディスク A、B、F に障害が発生しても、RAID1 ボリュームの全論理ブロック範囲が少なくとも 1 つの障害のないディスクに含まれるので対処することができます。
ただし、ディスク A と D に障害があると、RAID1 ボリュームのデータの一部がディスクで使用できなくなり、論理ブロックへのアクセスができなくなります。
複数のスライスエラーによって RAID1 ボリュームのデータの一部が使用できない場合、データが利用できる RAID1 ボリュームにアクセスできます。この場合、RAID1 ボリュームは、不良ブロックが発生した単独ディスクのように動作します。損傷を受けた部分は使用できませんが、残りの部分は使用できます。