トランザクションボリュームの概要

トランザクションボリュームは UFS ログを管理するボリュームです。トランザクションボリュームは 2 つのデバイスで構成されています。マスターデバイスログデバイスです。

マスターデバイスは、ログ化されるファイルシステムを含むスライス、つまりボリュームです。ログはトランザクションボリュームがマウントされると自動的に開始しますが、これはトランザクションボリュームにログデバイスがある場合だけです。マスターデバイスに既存の UFS ファイルシステムを含めることができます (トランザクションボリュームを作成してもマスターデバイスは変更されないため)。あるいは、トランザクションボリュームにあとからファイルシステムを作成することもできます。同様に、トランザクションボリュームを消去してもマスターデバイスの UFS ファイルシステムは影響を受けません。

ログデバイスは、ログを含むスライスつまりボリュームです。ログデバイスは複数のトランザクションボリュームで共有することができます。ログとは連続した記録のことで、ファイルシステムへの変更が記述されています。

トランザクションボリュームの命名規則は他のボリュームと同じで、/dev/md/dsk/d0、d1 ...、d2 のようになります。(ボリュームの命名規則については、「ボリュームの規則」を参照してください。)

トランザクションボリュームの規則

トランザクションボリュームはどのように使用するのか

トランザクションボリュームが設定されたあとは、物理スライスのように使用できます。トランザクションボリュームは、ブロックデバイス (最大 2G バイト) や raw デバイス (最大 1T バイト) のように使用できます。マスターデバイスにファイルシステムがない場合は、トランザクションボリュームに UFS ファイルシステムを作成できます。


注意 - 物理スライスやボリュームをログデバイスやマスターデバイスにすることができます。ただし、信頼性や可用性を確保するために、ログデバイスに RAID1 (ミラー) を使用してください。物理ログデバイスにデバイスエラーが発生するとデータが失われます。RAID1 (ミラー) や RAID5 ボリュームをマスターデバイスとして使用することもできます。


ログデバイスに必要なディスク容量

少なくとも 1M バイト必要です。(ログデバイスの容量が大きいほど、より多くのファイルシステムを同時に処理できます。) 最大ログサイズは 1G バイトです。推奨値はファイルシステム 1G バイトあたり 1M バイトのログです。「平均」推奨値はファイルシステム 100M バイトあたり 1M バイトのログです。これ以上厳密に定められているわけではありません。最適なログサイズはそれぞれのシステム読み込みと設定によって異なります。しかし、64M バイト以上のログが使用されることはほとんどありません。幸いに、ログサイズはあまり手間をかけずに変更することができます。

どのファイルシステムのログを取ればよいのか

一般には、最大の UFS ファイルシステムと頻繁にデータを変更する UFS ファイルシステムのログを取ります。読み取りに使用する場合が多い小規模のファイルシステムのログを取る必要はほとんどありません。

別にログを取る必要があるファイルシステム

ファイルシステムはすべて同じログを共有することができます。しかし、パフォーマンスを向上させるため、読み込み負荷が最も大きいファイルシステムは別にログを取ることをお勧めします。


注意 - Solaris システムにソフトウェアをインストールする場合やソフトウェアを更新する場合、インストール中や更新中はシステムが使用する /usr、/var、/opt、その他のファイルシステムのログを無効にしておく必要があります。


ログを置く場所

ログはミラー、未使用スライス、状態データベース複製を含むスライスに設定します。物理ログデバイス (スライス) にデバイスエラーが発生するとデータが失われます。

ログデバイスで使用できるスライスがない場合

トランザクションボリュームを設定することができます。これは、ログデバイスに別のスライスがない場合、エクスポートしたファイルシステムのログを取るのに便利です。スライスが使用できる場合は、ログデバイスとして追加するだけで十分です。追加方法は『Solaris Volume Manager の管理』を参照してください。

ログデバイスをトランスメタデバイス間で共有することはできるか

共有できます。ログデバイスはファイルシステム間で共有できますが、よく使用するファイルシステムには独自のログデバイスが必要です。ログデバイスを共有した場合、特定のエラーではログデバイスを共有する全ファイルシステムを fsck(1M) コマンドでチェックする必要があり、この点では不便です。