ボリュームの概要

「論理ボリューム」とは、システムに単一の論理ドライブとして表示される物理スライスのグループです。標準の UNIX 用語では、擬似デバイスまたは仮想デバイスと呼ばれることがあります。

論理ボリュームを作成して、記憶領域の拡張 (RAID0 ボリュームを使ってスライスの連結やストライプ化を行う)、冗長性の確保 (RAID1 ボリュームを使って複数のスライスにデータをミラー化する)、またはその両方 (RAID5 ボリュームを使ってパリティ情報を保存するディスクを使う) を行うことができます。特定の目的を達成するために、異なる種類のボリュームを結合することもできます。

注:さらに、トランザクションボリュームを設定すると、クラッシュ後にディスクで fsck を実行する必要がなくなり、データ可用性が向上します。これは UFS ログが提供するのと同じ機能です。この機能は、拡張ストレージでも UFS でも利用できますが、通常は UFS ログのパフォーマンスの方が優れています。

ボリュームの使い方

ボリュームを使用すると記憶容量が増加し、データ可用性が向上します。場合によっては、ボリュームで I/O のパフォーマンスを向上させることもできます。機能的にはボリュームはスライスと同じ働きをします。ボリュームとスライスは似ているので、エンドユーザー、アプリケーション、およびファイルシステムからは透過的です。物理デバイスのように、ボリュームにはブロックや raw デバイス名でアクセスします。ボリューム名は、ブロックを使用するか raw デバイスを使用するかによって異なります。ボリューム名の詳細については、「ボリュームの規則」を参照してください。

ボリュームではほとんどのファイルシステムのコマンド (mount(1M)、umount(1M)、ufsdump(1M)、ufsrestore(1M) など) が使用できます。ただし、format(1M) コマンドは使用できません。ボリュームにファイルシステムがマウントされていれば、ボリュームで読み取り、書き込み、ファイルのコピーができます。

次の表は論理ボリュームの種類をまとめたものです。

ボリュームの種類

ボリューム

説明

RAID0 (連結とストライプ)

エラーやトランザクションデバイスの基本構成ブロックとして使用する。RAID0 ボリュームには次の 3 種類があります。連結、ストライプ、連結ストライプです。RAID0 ボリュームは物理スライスだけで構成される。単独では、簡易ボリュームにはデータ冗長性がない

RAID1 (ミラー)

複数のコピーを保持してデータを複製する。ミラーは、サブミラーと呼ばれる 1 つまたは複数の RAID0 ボリュームで構成される

RAID5

パリティ情報を使ってデータを複製する。データが消失した場合は、利用可能なデータとパリティ情報を使って消失したデータを再作成できる。RAID5 ボリュームはスライスで構成されています。パリティ情報にはスライス 1 つ分の領域が割り当てられますが、RAID5 ボリュームのすべてのスライスに分散されます。

トランザクションボリューム

ファイルシステムのログに使用する。トランザクションボリュームはマスターデバイスとログデバイスで構成される。どちらのデバイスにもスライス、簡易ボリューム、ミラー、RAID5 ボリュームが使用できる。マスターデバイスにはログ記録されたファイルシステムが含まれる