前のページ:  - ボリュームの操作手順の概要 次のページ:  - ダイナミック ボリュームの作成

VxVM ボリューム

VxVM では、ディスク領域の編成および管理に論理ボリュームを使用します。ボリュームは 1 つ以上の物理ディスクを分割して構成するため、物理ディスクにおける物理的な制限はありません。

ボリュームを使用すると、1 つの物理ディスクの場合より容量が大きくなり、可用性やパフォーマンスが向上します。ボリュームは、複数のディスクをまたいで拡張して容量を拡大したり、別のディスクにミラー化(コピー)してデータの冗長性を確保することができます。また、複数のディスクに I/O がまたぐようにストライプ化して I/O パフォーマンスを向上させることもできます。

VxVM を使用して次のタイプのボリュームを作成できます。

  • 連結ボリューム
  • 連結ボリュームは、互いに直線的にリンク(連結)した 1 つ以上のディスク領域から構成されています。連結ボリュームは、複数のディスク上にあるディスク領域から構成でき、複数のディスクをまたぐ連結ボリュームを分散(スパン)ボリュームともいいます。

    注:    このタイプのボリュームのデータは、基盤となるディスクに障害が発生してもリカバリを実行することはできません。ただし、連結ボリュームは、別のディスク上にミラー化(コピー)してディスク障害からデータを保護できます。
  • ストライプ ボリューム
  • ストライプ ボリュームのデータは、複数の物理ディスクにインタリーブ(ストライプ)されます。ストライプ ボリュームのデータは、ストライプ ユニットと呼ばれる、少量かつサイズが同じデータ単位で交互にそして均等にディスクに分散されます。 ストライプ化すると、パフォーマンスが向上します。

    注:    このタイプのボリュームのデータは、基盤となるディスクの 1 つに障害が発生してもリカバリを実行することはできません。ただし、ストライプ ボリュームは、別のディスク上にミラー化(コピー)してディスク障害からデータを保護できます。
  • RAID 5 ボリューム
  • RAID 5 ボリュームのデータは、3 つ以上の物理ディスクにインタリーブ(ストライプ)されます。一連のディスクにまたがる各ストライプ内では、あるディスク上のデータがパリティ データとなります。物理ディスクの 1 つに障害が発生しても、パリティ データを使用して、失われたデータの再作成およびリカバリを実行できます。

    注:    RAID 5 ボリュームはミラー化できません。
  • ミラー ボリューム
  • 連結レイアウトまたはストライプ レイアウトを指定したボリュームをミラー化すると、データの可用性を向上させることができます。ミラー ボリューム上のデータはすべて、少なくとも 1 つの別の物理ディスクに複製されます。ディスクのうちの 1 つに障害が発生しても、残りのディスクの 1 つからデータにアクセスできます。
    通常、ミラー ボリューム内のプレックスは同じレイアウトを使用しますが、ボリュームは異なるレイアウトを持つプレックスで構成できます。ボリューム内に異なるレイアウトのプレックスがある場合、ミラー ボリュームは“混合”レイアウトになります。
  • 階層化ボリューム
  • 階層化ボリュームは、他の 1 つ以上のボリューム上に構築されたボリュームです。通常、基盤となるボリュームはミラー化されます。階層化ボリュームでは、ミラー化は下位のオブジェクトで行われ、非階層化ボリュームよりもミラー化の粒度は小さくなります。そのため、各ミラーで占めるストレージ領域は比較的小さくなります。
    階層化ボリュームは、非階層化ボリュームよりもディスク障害に強く、高いデータの冗長性が確保されます。階層化ボリュームのディスクに障害が発生した場合、冗長性のみが失われるので、リカバリ時間は、通常、非階層化ボリュームの場合より短くて済みます。階層化ボリュームを使用すると、2 つのディスク障害によるデータ損失の可能性も減少します。
    階層化ボリューム内の下位ボリュームは、VxVM により排他的に使用され、ユーザーによる操作はできません。
    VxVM を使用して、次のタイプの階層化ボリュームを作成できます。
      • 連結ミラー ボリューム(コンカチネイテッド プロ(Concatenated Pro) ボリューム)
        • 連結ミラー ボリュームは、いくつかの下位ミラー ボリュームから連結ボリュームを構成した階層化ボリュームです。
      • ストライプ化ミラー ボリューム(ストライプ プロ(Striped Pro)ボリューム)
        • ストライプ化ミラー ボリュームは、いくつかの下位ミラー ボリュームをストライプ ボリュームを構成した階層化ボリュームです。

次の表に、各ボリューム レイアウトの長所、短所の概要を示します。

レイアウトの比較

レイアウト 長所 短所

連結ボリューム


ストライプ
ボリューム


RAID 5 ボリューム


ミラー ボリューム


連結ミラー
ボリューム


ストライプ化ミラー ボリューム



注:    ボリュームの作成ウィザード(Create Volume Wizard)で指定したボリュームの合計サイズは、データの格納に使用できるサイズです。 レイアウト タイプによっては、ボリュームでさらに多くのディスク領域が必要になることがあります。ウィザードに示されたシンプル ボリューム、ストライプ ボリュームおよびスパン ボリュームのサイズは、ディスク上にある実際のボリューム サイズです。RAID 5 ボリュームでは、パリティ情報用に追加領域を必要とします。ミラー ボリュームのサイズは、ボリュームの元のプレックスで確保していた領域の倍数になります。このウィザードには、ボリュームのサイズを決定する「最大サイズ(Max Size)」ボタンがあります。このサイズは、ディスク上でボリュームが使用する実際のサイズではなく、あくまでもユーサーがボリュームで使用可能な領域のサイズです。

前のページ:  - ボリュームの操作手順の概要 次のページ:  - ダイナミック ボリュームの作成